あなたは、不動産屋に質問をしながら進めれば、購入を安全に終えられると思いますか?
じつは、不動産屋に質問すると、場合によっては不動産屋の営業マンの口車にやられて損をしてしまうことも・・・?!
今回は、不動産屋へ質問するという意味合いと、そこからわかる注意点をまとめてみました。
「時間がないから不動産屋に丸投げしようと思っている」という人にこそ、ぜひ時間を空けて読んでほしい。
それでは、まいります。
心の中で売りたい物件は予め「決まっている」
不動産屋の多くは「売りたい」と思う物件があれば、積極的に良い点をプッシュする。
そして、その物件を相手に売るために、さまざまなテクニックを駆使する。
不動産営業の悲哀をリアルに描き、すばる文学賞を受賞した「狭小邸宅』(新庄耕、集英社)。
その作品にこんな一節がある。
半田さん夫妻を車に乗せて三軒茶屋に向かった。
最初の「まわし」だった。
昨夜、日中の営業を終えてから、まわしを検討した。
社の戦略商品に組み込まれている本命の物件は、すでに課長から言い渡されていた。
課長は、本命の物件を買わせるためには、引き立て役であり客のネックを遺す役でもある、まわしの物件をどれだけ効果的に順序よく案内できるかが重要だ、と繰り返し言った。
ここでいう「まわし」とは、購入希望者のニーズから、価格や間取り、駅からの距離など、あえて少しずつズレた物件を指す。
まわしを先に見せ、本命の物件を後回しにすることで、その魅力を引き立てるのである。
なお作中では案内の前日、主人公はまわしを含めた筋書きを決めるべく、日付が変わるまで上司とやりとりをしている。
質問を不動産屋にすること自体が「誤り」
良い点についてはあの手この手で強調するものの、反面、悪い点は聞かれない限り、不動産屋は自ら言ってくれないようなイメージがある。
もちろんこれは、違法ではない。
殺人事件や自殺のように告知義務があるものや、物件に明らかな瑕疵があるならともかく、住むうえでさほど大きな影響を及ぼすとは思えない、細かいあれこれまで言ってはくれないだろう。
むしろ、契約できれば多額の仲介報研が手に入るのに、みすみすそれを逃すリスクを負うのは、購入者との関係性を考えると割に合わないことでもある。
そもそも聞かれたことには答える義務があるが、そうでないことについてまでは必要以上に説明しないことのほうが、商売として見たらおそらく正しい。
しかし、ここにも不動産業者と消費者の間にある「ゆがみ」の原因があるとじられる。
筆者はここで断言しておきたい。
そもそも物件についての質問を、その物件の売り買いを行う不動産屋にすること自体、実は間違っている。
不動産業を含む媒介(仲介)業とは、本来はいわば「代理人」として、依頼人(ここでは家の購入者とする)の利益を追求すべき存在である。
ただし不動産屋という業種において、現状ではそのように機能していない。
というのも、現在の日本の制度では、不動産屋は売主、そして買主双方の代理人の立場を一人で請け負うことができる、いわゆる「双方代理」が認められているからである。
だから、不動産屋はどちらの味方でもあり、またそうでもない。
ちなみに売主、買主から仲介料を取ることを「両手」と呼ぶが、この手法は両方から仲介料を得られる分、実りも多いこともあり、一般的な不動産屋は重要視をしてきた。
そしてこの「両手」仲介が認められているという事実が、不動産を取り巻く状況をさらにややこしくしている。
不動産屋とは「緑談をまとめあげる」ための存在である
整理すれば、不動産屋はあなたの専属代理人のように見えるが、そうではない。
あえて言えば、条件がある程度マッチしていれば、容姿などの細かい点は気にせず、緑談をまとめあげようとするご近所のおじさん・おばさんにも近い存在だ。
だから、もしマンションの内覧に行って、本気でその物件を欲しくなったとして、その場にたまたま居合わせた不動産業者に、根掘り葉掘りその物件の質問をすることは、実は危うい。
もし客観的な意見を求めるのなら、第三者に聞かなければ、価値ある内容が得られにくいからだ。
だが現在、不動産業を生業にする知り合いがいるか、もしくは高額な費用を要求するコンサルタントにでも相談しない限り、第三者の立場を務めてくれる人は現れないだろう。
「私なら、どうしても気になる物件があれば、ライバル不動産会社の営業マンに、こっそりと感想を聞いてみる。
おそらくそこからは、それまでに知り得なかった情報がボロボロと出てくるはずだからだ。
売買を担当している不動産屋にバレれば、大変に嫌がられるはずなので、読者の皆さんには決してオススメはしないが。
*「代理」と「媒介(仲介)」は厳密には異なる。
「代理」は本人に代わって家の売買の法律行為を行うこと、他方「媒介(仲介」は売主と買主の間にたって物件の斡旋をすることであり、本人に代わって法律行為は行えない。
「媒介(仲介)人」という言葉が正しいが、一般的ではないため、この本では広義で「代理人」という表現を用いる。
まとめ
いかがでしたか?
不動産屋に質問するときの注意点は以下の点を理解しておくことです。
- 「売りたい」と思う物件があれば、積極的に良い点をプッシュする
- 悪い点は聞かれない限り、不動産屋は自ら言ってくれない
- 不動産屋は緑談をまとめるだけの存在
上記3つのポイントを意識しながら不動産屋の話を聞くと、「いまのは売り込みに来た?」というのがわかるアンテナが立つはずです。
また、アンテナを立てたうえで納得して不動産を購入したとしても、いつかは必ず売却の機会がきます。
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いまはまだ「マンションナビというのもあるんだなぁ~」程度でいいと思いますが、いざというときは今回の記事を頭の片隅から出していただけるといいかと思います。